リンゴを発酵バターでゆっくりと焦がさないようにソテーし、カルバドスを振りかけてフランベ、
赤ワインを注いで煮詰めたものを使います。
リンゴの種類によってすぐにドロドロになるものや歯ごたえがなかなか消えないものなどありますので、そこは材料の量や調理の時間などで変えていきます。食べた時にツブツブが残ってリンゴの味になるように考えます。
カルバドスも香りが良いので卵黄生地にも少し振りかけてます。
固形分も多く、水分も多いので少し小麦粉が多目に入ります、しかしその分しっとり感は増しますね。
一口目からジュワー!っと音がします
尊敬する二宮金次郎先生、彼は小田原が生地でここ足柄平野を豊かにしてくれました。
そして北海道にもわたり色々な事業を開発した人でもあります。
彼の関わった砂糖会社があり、そこの上白糖を使用しています。
なのでというわけでもないのですが、ちょっと(ほんの気持ちではありますが)甘めにしています。
きめの細かいシフォンというのはどれも同じですが、湘南小麦の香りが残るように湘南小麦を多めに配合にしています
チアシードを水に浸してふやかしておきます。
水分の代わりにヨーグルトを使います、なるべくさりげないサラダ油を使い、湘南小麦よりも北海道産の薄力粉の配合を増やします。要点はこれくらいで焼いていきます
もちろんです、そうしないと毎回同じ味で同じ品質のものはできません。
スタッフが変わったら形も味も変わってしまったーーーというのはあってはいけないのです。
グリットのオーナーシェフは私です、そして他に従業員はいません
オーナーは料理人です、そしてオーナーです。
コックにも色々な種類のコックがいるということです
ミュージシャンの話をしてみますね
ミュージシャンといっても音大出のスタジオミュージシャンもいれば酒場のジャズピアニストもいます。小さなコンサートホールでカチッと演奏する人もいればビックバンドでお客様を高揚させるバンドミュージシャンもいます
ジャズで言えばMJQが好きです、彼達はあまり大きくないコンサートホールで聞きたいです。カチッと演奏されるのですがよりリラックスして演奏している姿を見ながら酔いしれたいです。レコードと同じレベルの生演奏なんだろうな?
彼達こそ本物のロックンローラーです、レコードですごい演奏を聴いてライブに行くとロバートプラントは高音を歌わないで、ジミーペイジは外しまくる・・・と思ってしまう。
彼達は一つ一つのライブをお客様と共鳴するために演奏しているのであってレコードをそのまま演奏するのじゃないってことです。
色々なチェレンジをお客様と共に体感したいと思って演奏しているのが伝わると彼らこそが最高の演奏家であると確信するのです。
グリットのオーナーシェフは???
小さなライブハウスの一人しかいないピアニストかな?
できればバドパウエルとかセロニアスモンクでありたい
昔は何人もいるビックバンドでもやってたし、クラシックな曲も引いてた、ビックバンドでスイングもしていたが晩年は小さなライブハウスのオーナーで色々な曲を自分なりにアレンジしながらお客様を楽しませている。
料理人の世界でも同じことが言えるのです
昔は活躍していたのだけど今では小さなお店でポンデケージョとシフォンを焼いている。
毎日毎回素材を見て、手で触って、口に含んで確かめて、その日の作り方を微妙に変化させていく。
このリンゴには火の入れ方はこれくらいがいいだろう、卵白もこれくらいで小麦粉もこれくらいで焼くとこんな味になる・・・
とノートにメモを取りながら調理していく
だから毎回味が違うし、タッチも違う
どうだ美味いだろう!という若者の押し付けが少なく優しいマイルドな味になる。
ただし、昔の鋭いキレは変わらない、
決めるところは外さない
年をとることは良いことだ・・・と最近思う
俺は今でも現役コックです